ディジタル回路実験

Lab5: 簡単なゲームマシンの設計(電子ルーレット)

ディジタル回路設計の応用として、簡単なゲームマシン(電子ルーレット)を設計します。

動作原理

電子ルーレットを実現するために必要な「8ビットシフトレジスタ74LS164」の動作を確認しましょう。
  1. QAからQD、QEからQHの8つが出力端子です。LEDにそれぞれ接続します(電流制限抵抗を忘れないこと)。
  2. 直列入力(ピン1、ピン2)およびCLR端子(ピン9)について、トグルスイッチがオフのときプルアップされ、オンのときグランドに接続されるようにそれぞれ回路を作成します。
  3. クロック端子(ピン8)にチャタリング防止回路の出力を接続します。
  4. ピン1、2をH、ピン9をLレベルにし、出力をすべてLレベルに設定します。
  5. クリア端子(ピン9)をHレベルにしてクリアを解除し、チャタリング防止回路からパルスを順次入力して動作を確認します。 このとき、適当にピン1(またはピン2)を途中でLレベルにして、LEDの点灯状態(記憶状態)を確認します。
  6. 次に、チャタリング防止回路を外し、ファンクションジェネレータから0.1[Hz]程度のTTLパルスを 入力します。
  7. 回路をまずクリアし、一つ目のLEDのが点灯したらすぐにピン2とピン13を接続してLEDの初期状態を作成します (最上位出力を最下位入力に接続します)。
  8. ファンクションジェネレータからのパルスを高速にしても動作することを確認します。

図4-8:74LS164の内部構造


図4-9:74LS164のピン配置

実験に必要な部品

実験に必要な電子部品は次の通りです。必要な数は各自で決めて下さい。

表3-1:実験に必要な部品
品名規格・型番個数備考
74シリーズIC適切な品番適切な数ピンを指に刺さないよう注意せよ
LED適切な数足の長い方を+側に接続します
電流制限用抵抗330Ω(1/8W)適切な数 
スイッチトグルスイッチ適切な数 
プルアップ用抵抗4.7kΩ(1/8W)適切な数 
ブレッドボード---少々電線が折れてとれなくなった時は教職員まで
電線---少々色を使い分けましょう。+5Vは赤、GNDは黒か青が良い

注意:
・実験では,理論値(真理値表または動作表の値)と実際に観測した値(LED の点灯または消灯)があっているかどうかを一つ一つ確認する作業が必要です。
・いきなり回路を作らず,しっかりと回路図を書いてから(必要なら配線図を書いて) 部品の配置を決め配線を始めること.(プロでもいきなり回路を作るのは難しいのです。 プロでもできないことをしないように。)

実験

それでは、8ビットシフトレジスタ74LS164を用いて電子ルーレットを製作してみましょう。
  1. 部品とそれらを接続する回路図を書きます(下欄に記入)。 このとき、2つの直列入力(ピン1、ピン2)のうち1つ(ピン1)をプルアップ(+5Vに4.7kΩの抵抗を介して接続)します。 そして、もう1つのピン(ピン2)を「プルアップする」か「13番ピンの出力接続する」かをスイッチで選択できるようにします。
    CLR端子(ピン9)もスイッチにより0と1を選択できるように同様にスイッチを接続します。
    
    


    図3-3:電子ルーレットの回路図

  2. 回路をブレッドボード上に作成します。
    1. ICの場所を決めます。
    2. ICの電源(+5V、GND)を配線します。
    3. ブレッドボード上に、QAからQD、QEからQHまでの 8つの出力端子に対応したLEDを直線状に配置します。抵抗やスイッチも配線します。
    4. 回路をもう一度確認します。
  3. 安定化電源(+5V、GND)を接続します。
  4. ファンクションジェネレータから0.1[Hz]程度のTTLパルスが出力されるように調整します。 (LEDで動作チェックすると良い)
  5. クロック端子(ピン8)にファンクションジェネレータのTTL出力端子を接続します。(GND端子も忘れずに配線します)
  6. クリア端子(ピン9)をスイッチで0に設定し、フリップフロップの出力をすべて「0(L)」に設定します。(LEDがすべて点灯します)
  7. ピン1に接続されたスイッチを1に設定することで、クロックが入力されるたびにシフトレジスタの出力が1つずつ「1(H)」になります。(LEDが消灯していきます)
  8. 最後の1つのLEDだけ点灯した瞬間、もう1つのスイッチを倒してピン13とピン2が接続するようにします。
  9. クロックが入力されるたびにシフトレジスタのLEDが変化する様子を記録します。(下表に記入)
  10. ファンクションジェネレータの周波数を上げて、電子ルーレットが目にも見えない早さでも高速に動作することを確認します。
  11. 教員の動作チェックを受けて電子ルーレットの完成です。
表3-3:電子ルーレット回路の動作結果(LED点灯:○、消灯:×)
時刻順 QA QB QC QD QE QF QG QH
1(最初の状態)×××××××
2        
3        
4        
5        
6        
7        
8        
9        
10        
以降上記の繰返し        

このようにして作られたものが、いまは懐かしい駄菓子屋さんの店頭に置いてあった電子ルーレットの原理なのです。


図3-4:ブレッドボードへの実装例

応用実験

ここで完成した電子ルーレットは、単に8個のLEDが回転する(実際は1列になっている)だけ の回路です。

本実験では、これまで学んだ「組合せ回路」、「記憶・順序回路」を応用し、 電子回路的に自由に電子ルーレット回路を拡張してください。

拡張の手順

  1. 目標を決めます。
  2. そのためには何をしなければならないか、列挙します。
  3. 回路図を書きます。
  4. 製作します。
  5. 動作を確認します。
  6. 成功しても失敗しても時間内に教職員のチェックを受けます。

回路拡張のヒント:


レポートの作成

上記の実験をレポートにまとめ提出せよ。

レポートの書き方は、各机に置いてある「実験指導書」を見るか、 「実験指導書(ホームページ版)」を参考にして下さい。


2004.06.14.
2005.06.01.
2008.05.10.
2009.05.10.
2011.04.07.
fmiso at sist.chukyo-u.ac.jp