実験:トランジスタアンプ
本実験では,トランジスタアンプ(増幅)回路について学びます.
以下にこの回路の設計方法について述べます.
まずは直流設計を行ないます.
まず,ベースからエミッタへ流れる電流は十分小さいものとして無
視します.設計では,電源からRc,トランジスタ,
Reへ流れる直流電流を0.5mA程度と定めま
す(どの値でも良いですが,無駄な電力を消費しない程度).
RcとReに0.5mAの電流
が流れるので各々の抵抗で電圧降下が起こります.
電源電圧が5Vなので,これらにキルヒホッフの電圧則を適用する
とトランジスタの両端電圧は3V程度になります.
つまり,入力が無信号時には約3Vで,信号が入るとそれが変化す
ることになります.
次に,トランジスタはベース・エミッタ間を0.6V程度に
保たないと動作しません.そのために抵抗R1とR2で電
源電圧を分圧してベース電圧を定めます.エミッタ抵抗
Reの降下電圧1Vにベース・エミッタ間電圧0.6
Vを加えた電圧がベース電圧で1.6V程度になるようにします.
次に交流設計を行ないます.
交流設計は実際に入力信号が入った時にその信号が流れる経路に注
目して行ないます.すると,回路中の3個のコンデンサは交流信号
については短絡しているとみなすことができます.
トランジスタの入力電圧に対する出力電圧の比Aを増
幅率といいます.そしてエミッタ接地増幅回路の増幅率は
トランジスタのエミッタ側の抵抗とコレクタ側の抵抗の比
になります.
図1の増幅回路ではReとRe1の
並列接続したものとRcの比になり,増幅率
Aは約20になります.
このようにして設計されたエミッタ接地増幅回路は約20倍の増幅回
路として動作しますが,出力インピーダンスが大きいため出力接
続する負荷のインピーダンスが小さいと増幅率が減ってしまいます.
そこで,出力インピーダンスを下げるためにエミッタフォロアと呼
ばれる回路を出力部に追加します.エミッタ接地トランジスタ増幅回路は通
常コレクタから出力を取り出しますが,エミッタフォロアはエミッ
タから出力を取り出します.回路的には増幅率1の増幅回路になり
ますが,出力インピーダンスを下げることができます.スピーカな
どの低インピーダンス機器を接続する時に必要な回路です.
品名 | 規格・型番 | 個数 |
---|---|---|
トランジスタ | 2SC1815 | 2 |
抵抗 | 100Ω(1/8W) | 1 |
抵抗 | 200Ω(1/8W) | 1 |
抵抗 | 2kΩ(1/8W) | 1 |
抵抗 | 3.9kΩ(1/8W) | 1 |
抵抗 | 15kΩ(1/8W) | 1 |
抵抗 | 33kΩ(1/8W) | 1 |
電解コンデンサ | 10μF(耐圧16V) | 2 |
電解コンデンサ | 47μF(耐圧16V) | 1 |
ユニバーサル基板 | 小 | 1 |
スピーカ | 4〜32Ω | 1 |
3.5φジャック | スピーカ接続用 | 1 |
3.5φプラグ | 信号入力用 | 1 |
電線・半田 | --- | 少々 |