Introduction to Media Engineering
メディア工学実習
第3章:簡単なゲームマシンの制作(実験)
この章では簡単なゲームマシンとして「電子ルーレット」を作ってみましょう。
実験に必要な部品
実験に必要な電子部品は次の通りです。必要な数は各自で決めて下さい。
表3-1:実験に必要な部品
品名 | 規格・型番 | 個数 | 備考 |
74シリーズIC | 適切な品番 | 適切な数 | ピンを指に刺さないよう注意せよ |
LED | 赤 | 適切な数 | 足の長い方を+側に接続します |
電流制限用抵抗 | 330Ω(1/8W) | 適切な数 | |
スイッチ | トグルスイッチ | 適切な数 | |
プルアップ用抵抗 | 4.7kΩ(1/8W) | 適切な数 | |
ブレッドボード | --- | 少々 | 電線が折れてとれなくなった時は教職員まで |
電線 | --- | 少々 | 色を使い分けましょう。+5Vは赤、GNDは黒か青が良い |
予備実験
電子ルーレットを製作する前に、まず、TTL回路(NAND回路)に確実に信号を入力でき、出力信号を観測できるか
どうかを確認しましょう。
次の手順に従って、NAND(74LS00)回路の動作を確認しましょう。
2つのスイッチで2つの入力信号線の状態を0(L)または1(H)に設定します。
また、LEDで出力信号線の状態を観測します。
注意:
・実験では,理論値(真理値表または動作表の値)と実際に観測した値(LED
の点灯または消灯)があっているかどうかを一つ一つ確認する作業が必要です。
・いきなり回路を作らず,しっかりと回路図を書いてから(必要なら配線図を書いて)
部品の配置を決め配線を始めること.(プロでもいきなり回路を作るのは難しいのです。
プロでもできないことをしないように。)
- 部品とそれらを接続する回路図を書きます(下欄に記入)。
図3-1:74LS00の動作確認回路の回路図
- 回路図にICのピン番号を記入します。(図1-9を見ながらどのピンを使うか各自で決めてよい)
- 回路図を見ながら、ブレッドボード上に部品を置き、配線作業を行います。
(集中して行なわないと配線ミスが発生します。本当です。回路図に電線と同じ色で配線を塗りながら作業すると良いでしょう)
- まず、ICの位置を決めます。
- 次に、ICの電源(7、14番ピン)を配線します。(+5Vは赤色、GNDは黒色または青色の配線を使うと良いでしょう)
また、ブレッドボード上部の端子に+5VとGNDを接続します。
- そして、LEDやスイッチ、抵抗を配置し、それらの間を適当な色の電線を使って配線します。(LEDは足の長い方を+側に接続します)
- 配線が間違っていないか、もう一度点検します。
- 安定化電源と回路を接続する前に、安定化電源単独で+5Vが出力されるように電圧計を見ながら調整します。
- 一旦安定化電源のスイッチを切り、ブレッドボード上部の+5VとGND端子を安定化電源と接続します。
- 安定化電源のスイッチを入れます。(もし電流計が大きく振れたら回路がショートしています。
すぐに電源を切って回路を確認してください)
- 2つのスイッチを動かし入力信号線に0または1の状態を与え、
NAND回路の出力信号線の状態をLEDにより観測し、
スイッチの位置とLEDの点灯・消灯の関係をすべて記録します。(スイッチはレバーを倒した方と逆側の2端子間が接続されます)
- 動作が正しいかどうかチェックを行ないます。
表3-2:74LS00の動作確認実験結果
スイッチ1 | スイッチ1 | NANDの予定動作(0or1) | LEDのランプの状態(点灯or消灯) | 動作確認(○or×)
|
ON(0) | ON(0) | | | |
ON(0) | OFF(1) | | | |
OFF(1) | ON(0) | | | |
OFF(1) | OFF(1) | | | |
動作確認欄がすべて○であることを確認したら次の実験に進みましょう。
図3-2:ブレッドボードへの実装例
本実験
それでは、8ビットシフトレジスタ74LS164を用いて電子ルーレットを製作してみましょう。
- 部品とそれらを接続する回路図を書きます(下欄に記入)。
このとき、2つの直列入力(ピン1、ピン2)のうち1つ(ピン2)をプルアップ(+5Vに4.7kΩの抵抗を介して接続)します。
そして、もう1つのピン(ピン1)を「プルアップする」か「13番ピンの出力接続する」かをスイッチで選択できるようにします。
CLR端子(ピン9)もスイッチにより0と1を選択できるように同様にスイッチを接続します。
図3-3:電子ルーレットの回路図
- 回路をブレッドボード上に作成します。
- ICの場所を決めます。
- ICの電源(+5V、GND)を配線します。
- ブレッドボード上に、QAからQD、QEからQHまでの
8つの出力端子に対応したLEDを直線状に配置します。抵抗やスイッチも配線します。
- 回路をもう一度確認します。
- 安定化電源(+5V、GND)を接続します。
- ファンクションジェネレータから0.1[Hz]程度のTTLパルスが出力されるように調整します。
(LEDで動作チェックすると良い)
- クロック端子(ピン8)にファンクションジェネレータのTTL出力端子を接続します。(GND端子も忘れずに配線します)
- クリア端子(ピン9)をスイッチで0に設定し、フリップフロップの出力をすべて「0(L)」に設定します。(LEDがすべて点灯します)
- ピン1に接続されたスイッチを1に設定することで、クロックが入力されるたびにシフトレジスタの出力が1つずつ「1(H)」になります。(LEDが消灯していきます)
- 最後の1つのLEDだけ点灯した瞬間、もう1つのスイッチを倒してピン13とピン2が接続するようにします。
- クロックが入力されるたびにシフトレジスタのLEDが変化する様子を記録します。(下表に記入)
- ファンクションジェネレータの周波数を上げて、電子ルーレットが目にも見えない早さでも高速に動作することを確認します。
- 教員の動作チェックを受けて電子ルーレットの完成です。
表3-3:電子ルーレット回路の動作結果(LED点灯:○、消灯:×)
時刻順 |
QA |
QB |
QC |
QD |
QE |
QF |
QG |
QH |
1(最初の状態) | × | × | × | × | × | × | × | ○ |
2 | | | | | | | | |
3 | | | | | | | | |
4 | | | | | | | | |
5 | | | | | | | | |
6 | | | | | | | | |
7 | | | | | | | | |
8 | | | | | | | | |
9 | | | | | | | | |
10 | | | | | | | | |
以降上記の繰返し | | | | | | | | |
このようにして作られたものが、いまは懐かしい駄菓子屋さんの店頭に置いてあった電子ルーレットの原理なのです。
図3-4:ブレッドボードへの実装例
実験が終了したら
全ての実験が終了したら、次の手順に従って元の状態に戻して下さい。
- 記述された回路図と回路動作を教職員がチェックします。
- チェックOKならブレッドボードから全ての部品、配線を取り外してください。
- 部品は元の部品入れに戻してください。(ただし、部品が壊れてしまった場合は、別の回収箱に入れてください)
- ブレッドボードに配線が折れて残った時は、教職員に必ず申し出て取り除いてもらうこと。
「ゲームマシンの応用(実験)」へつづく
2004.06.14.
2005.06.01.
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